中小企業診断士 二次試験 令和元年 再現答案セルフ分析します〈事例Ⅲ〉
どーも、かまかまです。
この日曜日は本来なら姫路城マラソンを走っている予定でしたが、新型肺炎の影響で中止になり残念ながら大会で走ることはできませんでした。悔しくてランニング仲間と大会コースを走ったところ、同じことをしている人たちが大勢いました。4月末にも大会にエントリーしているので、それまでに終息していることを願うばかりです。
さて、引き続き令和元年二次試験の再現答案をセルフ分析していきたいと思います。
今回は事例Ⅲです。この事例も各受験校の解答とはかなり異なっていたため、高得点は期待していなかったのですが、得点開示の結果はなかなかの得点になっており、どの部分が良かったか確認していきたいと思います。
得点開示71点、EBA評価 B、AAS評価 B、LEC評価 C
目次
第1問(配点20点)
設問文
C社の事業変遷を理解した上で、C社の強みを80字以内で述べよ。
出題の趣旨
金属熱処理業として創業し事業拡大を図ってきたC社のこれまでの事業変遷を把握して、C社の強みを分析する能力を問う問題である。
再現答案
強みは①機械加工部門の新設や熱処理工程の増設により生産力が向上した②技能士資格をもつ作業員や汎用機械加工機の扱いに慣れた作業者の技能③特殊な技術の蓄積である。
セルフ分析
設問文と出題の趣旨はほぼ同じで、出題の趣旨では「金属熱処理業として創業し事業拡大を図ってきたC社」となっている程度で、基本的な強みを答える問題である。
売上高の増加に貢献している要因は強みであるとの考えから①を解答しており、事例Ⅲで強みを問われたら基本技術力が多いので②を、事業変遷を理解していますよのアピールで③を解答している。設問文にも出題の趣旨にも「これまでの事業の変遷を把握して」とあるので「新設」「増設」「蓄積」などのキーワードは変遷に対応しており得点対象であると思われる。また、他の人の解答をみても「一貫生産体制」「作業者の技能」「蓄積された技術」が多くなっており、これらのキーワードが得点につながっていると思われる。
第2問(配点20点)
設問文
自動車部品メーカーX社からの機械加工の受託生産に応じる場合、C社における生産面での効果とリスクを100字以内で述べよ。
出題の趣旨
X 社からの新規受託生産に応じる場合のC社の生産面における効果とリスクについて、分析する能力を問う問題である。
再現答案
効果は①加工能力増強により生産量が2倍になる②10種類の部品や、5工程の加工で技術やノウハウの蓄積を図ることができる。リスクは①初めての本格的量産機械加工で対応できない②加工品質の劣化がある。
セルフ分析
この問題も設問文と出題の趣旨はほぼ同じで、違いといえば「機械加工の受託生産」が「新規受託生産」に変わっているぐらいである。
効果について①は外してはいないが、生産量が2倍になってどうなるのかが書けていない。生産量が倍増して「効率化」されるまで書くことができれば高得点につながると思われる。②は得点になっていると思われるが、「10種類の部品や、5工程の加工で」はあまり意味をなしていない。
リスクに関しては出題の趣旨で「新規受託生産に応じる」とあるので、①の「初めて」はそれなりに評価されるとは思われるが、「対応できない」に具体性がない。②は新規受託により現状できていことができなくなるリスクを解答しているのだが、これが得点につながっているかどうかは他の人の解答を見てもわからない。ただし、全体で7割を得点していることを考えれば、この部分にも加点されている可能性はある。
この問題では「生産面」における効果とリスクを問う問題なので、どこまでを生産面として考えるかがポイントになっていると思われる。
第3問(配点40点)
X社から求められている新規受託生産の実現に向けたC社の対応について、以下の設問に答えよ。
設問 1
C社社長の新工場計画についての方針に基づいて、生産性を高める量産加工のための新工場の在り方について120字以内で述べよ。
出題の趣旨
C社社長の方針に基づいた新規受託生産のための新工場の在り方について、助言する能力を問う問題である。
再現答案
新工場の在り方は①作業標準化を進める為、マニュアル化し共有する②工程レイアウトを現状の機能別からグループ別にし量産加工に対応する③工程にあった新規設備を導入する④OJTにより作業者を教育する、ことにより生産性を高める。
セルフ分析
設問文では「生産性を高める量産加工のため」が、出題の趣旨では「新規受託生産のため」となっており、X社の新規受託生産に対応できる新工場の在り方が問われている。
社長の方針に基づいた新工場の在り方なので、社内に表明している方針に沿って解答することで得点が入っていると思われる。①~④まですべて方針を具体化したものになっているので、問題なく加点されていると思われる。試験を受けた時点では「マシニングセンタ」が何であるか全然知識がなく、与件文にあった「最適な新規設備」を「工程にあった新規設備」としてごまかしているが、それでも得点につながっているのではないだろうか。
他の人の解答も概ね似たような解答になっており、この問題は比較的得点しやすい問題であったと思われる。
設問2
X社とC社間で外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用を進めるために、これまで受注ロット生産体制であったC社では生産管理上どのような検討が必要なのか、140字以内で述べよ。
出題の趣旨
X 社とC社間で後工程引取方式の構築と運用を進めるために、C社で必要な生産管理上の検討内容について、助言する能力を問う問題である。
再現答案
必要な事は①生産計画をX社に合わせて3ヶ月の大日程、1ヶ月の中日程で作成し確定情報で調整する②計画に基づいて差立てを柔軟に見直す③計画に合わせて材料の発注を1ヶ月の見込みで行う④変更に対応できるように材料在庫を持つ⑤作業の平準化を行う、ことで運用に対応する。
セルフ分析
設問文と出題の趣旨から考えると、「現状できていないが後工程引取方式の構築と運用を進めるために必要な生産管理上の内容」を答える問題である。
生産管理といえば、生産計画と生産統制。そして生産統制は進捗管理、現品管理、余力管理。ということで①に計画、②で余力管理、③、④が現品管理で解答を作成している。⑤は文字数が余ったので入れている。X社に合わせて計画する意味では①、③、④には得点が入っていると思われるが、②と⑤については加点されていないと思われる。さらに③では見込みでの発注を解答しているがどこまで加点されているか疑問である。
他の人の解答を見ると、生産計画として「全社計画」や「計画の短サイクル化」、現品管理として「調達方法の見直し」「在庫管理」を書いている人が多い。
第4問(配点20点)
新工場が稼働した後のC社の戦略について、120字以内で述べよ。
出題の趣旨
新工場が稼働し、X社からの新規受託生産が開始された後のC社の戦略について、助言する能力を問う問題である。
再現答案
戦略はX社以外の自動車部品の受注を図る。具体的には、商談会や展示会に出店し受注先を探し、蓄積した技能やノウハウを活用して新工場の稼働率を高め、X社依存にならないよう経営リスクの分散を図る。
セルフ分析
出題の趣旨では「X社からの新規受託生産が開始された後のC社の戦略」とあるので、X社以外をどうするのかが問われている。
与件文の方針1に「X社向け以外の量産の機械加工ができる新工場」とあるので、この方針から「X社以外の自動車部品の受注を図る」とし、過去の成功例から「商談会や展示会に出店」、強みから「蓄積した技能やノウハウを活用」し、リスクとして考えられる「X社依存」を解決すると解答している。
他の人の解答でも「X社以外の受注」に言及されている方が多く「X社以外の受注を獲得し新工場の稼働率を高め、X社依存を解決する」戦略に対しては加点されていると思われる。しかし、商談会や展示会に出店の部分は加点されているか微妙だと思われる。
最後に
ここまでの感じだと、第1問、第3問設問1、第4問でそこそこ得点ができていて、第2問と第3問設問2があまり得点できていない感じです。特に第3問設問2は大きく失点していると思われます。それでも7割近く得点できているので、他の問題でカバーができているということなのでしょう。
なお、この答案分析は出題の趣旨と何人かの再現答案をもとに、あくまで個人的に分析したものですので、実際の解答とは異なる可能性がございますのでご了承ください。
これまで3週にわたり答案分析にお付き合いいただきありがとうございました。次からはまた違うことを書いていきたいと思います。
事例Ⅰ~Ⅳすべての再現答案を公開したブログ記事はこちら
事例Ⅰセルフ分析はこちら
事例Ⅱセルフ分析はこちら
『企業診断』2020年3月号に事例Ⅲ事例Ⅳの分析が載っています。
今日の「愛され妻」
この3連休はなかなか活動的でした。自転車に乗ったり。筋肉痛です。
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