税法免除大学院 私が修士論文(所得税法56条)で言いたかったこと
税理士試験受験生応援ブロガーくまお(@kumaco55)です。
気がつけばもう12月が目の前です。
税理士試験の結果発表も約半月後と迫ってきました。結果待ちの受験生さんは、気になって勉強に身が入らないときもあるでしょう。私も実はそんなときがありました。なぜか11月1日を12月1日だと思い込み、1ヶ月早く浄水器カートリッジを交換してしまったことを昨日のことのように覚えています。それだけ真剣に受験したってことですよね。気にするなと言われても気になるものです。そんなときは、テキストを音読すると無の境地に近づけますよ。声を出してテキストを最初から読んでみてください。復習も兼ねて一石二鳥です!
目次
所得税法56条「事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例」
私の修士論文のテーマは、所得税法56条「事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例」についてでした。
取り上げた判例は、「弁護士夫婦事件」「弁護士税理士夫婦事件」の2つです。
先行研究を丹念に調べ、所得税法56条の変遷をつぶさに追いかけ、修士論文を執筆しました。
「先人の研究成果をまとめただけで自分の意見がない」というようなご指摘を頂戴いたしました。
そういう論文にしか書き上げられなかった理由を、科目免除通知を受け取った今だからこそ、当ブログ上で明かします。(ぶっちゃけたからって科目免除が取り上げられることはないと信じています)
所得税法56条に対する、そもそもの疑問点とは
所得税法56条の規定が創設された背景はいくつか指摘されるのですが、その1つに、【企業と家計との分離の不明確さ】が挙げられていました。
「わが国では記帳習慣がまだ一般的なものになっておらず、企業と家計との区分が必ずしもはっきりしていないから、給与等の対価の支払の事実の確認に困難が伴う(行政上の理由)。」1)
1) 西村康夫「居住者と生計を一にする親族が別に事業を営む場合であっても、所得税法56条の適用があり、同条を適用した課税処分は憲法14条1項に反しないとされた事例」行政判例研究会編『行政関係判例解説 平成16年』(ぎょうせい、2006)68頁。
上で引用したような指摘がなされていました。※赤字は筆者による。
その疑問に対して現状はどうなのか?
紙の台帳とソロバンをいまだに愛用されていらっしゃる方もおられるようですが、パソコン上で入力する会計ソフトが広く普及していますよね。
所得税法56条創設当時は青色申告者のみに課されていた記帳義務も、白色申告者へと拡大されています。
記帳習慣がもう一般的なものになり、企業と家計との区分がはっきりしている、って言ってもいいんじゃないの~!!だから、ある意味ではもう所得税法56条は不要なんじゃないの~!!なんで誰もそれを指摘しないのよ~!!
というのがですね、私くまおが修士論文でイチバン言いたかったことなんですよ。
でも、それってアカデミックさに欠けるというか、そんな結論では学内審査も国税審査も通らないと思いまして…
何と言いますか、このモヤモヤを抱えたまま修士論文は完成に至ったのでした。
それでも「記帳習慣が定着してきている」ということに言及した資料を探し、要所要所に入れ込んだのでした。
今日の「愛され妻」
博物館では気に入った展示の前でしばらく動かなかったり、お寺では気に入った仏様の前でしばらく拝んでいたり、そんな私に文句も言わず付き合ってくれる夫の手には、厚さ5センチ近い本がありました。(私を待っている間に読み切ったそうです)