【読書】教養としての「税法」入門ー税務署職員から受けた指導が誤っていたらどうなるのか?

教養としての「税法」入門

教養としての「税法」入門 木山 泰嗣 著 を読みました。
税法科目を勉強しているとはいえ、税法の条文の根底にある「税金の役割・目的・意義」について全く知らなかったので、とても勉強になりました。
特に、「公平性」というものについて、ふたりの人間に食料を分け与える場合に「等分」するのか「体重比で按分」するのか、どう分けるのが果たして公平だと言えるのか。税法では「課税の公平性」ということに対して非常に細やかに配慮しているんだなぁと考えさせられる書籍です。

誤指導とは?

例えば、土地を売ったとします。税金いくら?と税務署で質問したところ、税務署職員に「100万円です」と言われました。そこで、申告書を作成し100万円を支払いました。
ところが後日、税務署から「あなたの税金300万円ですよ、足りない200万円を払ってください。それから少なく申告したペナルティーとして30万円も払ってください。」と連絡を受けました。
こちらとしては、「えぇっ!!税務署で言われたとおりに支払ったのに!?なんで!!!」と思いますよね。こういうケースが誤指導だと思って差し支えありません。

結局どうなるの?

税務署職員の言うとおりにしたのに間違っていると言われたら腹が立ちますね。その怒りはもっともな感情です。ですが、本来の正しい税金が300万円ならば、やはり300万円を支払う必要があります。同じ取引をして300万円を支払った人がほかにたくさんいるはずです。ひとりは300万円、もうひとりは100万円では、法律に則って正しく税金を課しているとはいえないからです。つまり、税金を払う人(納税者)に対しては公平にしなければならないという大原則があるのです。

でもペナルティーは酷じゃない?

誤指導があった場合のペナルティーについては「正当な理由」が認められて救済される(ペナルティーはなし)可能性があるそうです。
可能性があるだけなので、絶対に払わなくてよくなるということではなりません。誤指導を受けた納税者は悪くないという客観的な事情があるなど一定の要件を満たす必要があります。

そんなアレコレが詰まった書籍です!

実際の裁判例が詳しく解説されています。冒頭から、相続税法のいう「住所」とは?と引き込まれるように読みふけってしまいました。所得の授業で聞いた『大島訴訟』や『シャウプ勧告』についても丁寧に説明されていて理解が深まったなと感じています。税法を学ぶ上で読んでおいて損はない本です!

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