令和3年度(第71回)税理士試験出題のポイント

令和3年度(第71回)税理士試験出題のポイント

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令和3年度(第71回)税理士試験出題のポイントが公開されました!
来年の税理士試験の参考として活用しましょう。

簿記論

第一問

問1

本問は、帳簿組織に関する問題である。簿記は財務諸表作成のための主要簿だけでなく、日常的な経営管理のために不可欠な補助簿から構成されている。
本問では、かつての特殊仕訳帳制で問われていた能力を、現代的視点から、補助簿、証ひょう等の情報から取引を推測し、複式簿記を復元できるか、帳簿、勘定間の連携を理解できているかを問うている。

問2

本問は、今年度から適用される「収益認識に関する会計基準」に関する問題である。収益認識に関する会計基準で要求されている利息区分法と、固定資産の割賦購入において、帳簿上、債務を純額で計上する償却原価法を採用した場合の処理を理解しているかを問うている。
割賦販売の処理については、簿記上の債権債務管理と財務諸表上の取扱いに対応するための評価勘定による処理を理解しているかについても問うている。

第二問

問1

本問は、固定資産について自家建設・交換・購入で取得した場合に、その取得原価と減価償却の会計処理についての基本的な理解を問う問題である。

(1)は、自家建設をした工場の取得原価の計算において、材料費・労務費・経費のほかに、借入金の利息について建設期間中の算入可能額を適切に計算できるかについて問うている。
(2)は、複数の固定資産を対象に総合償却する場合の平均耐用年数を計算できるかについて問うている。
(3)及び(4)は、同種同用途の固定資産を交換で取得した場合の会計処理、複数の固定資産を総合償却する場合の会計処理、及び総合償却をしている固定資産グループの一部を除却した場合の会計処理を問うている。

問2

本問は、子会社株式の取得と、その後一部を売却した場合についての会計処理及び連結精算表上での処理についての基本的な理解を問う問題である。

(1)は、資本連結手続上で認識した子会社の資産・負債の時価と簿価の差額は、「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」第21項によれば連結財務諸表固有の一時差異に該当するため、時価評価に伴う税効果を認識し、その金額を適切に計算できるかを問うている。
(2)は、子会社と親会社の投資・資本相殺消去時の評価差額、のれん及び非支配株主持分の額を計算し、適切に仕訳ができるか、より正確には連結精算表上の処理を仕訳形式で示すことができるかを問うている。
(3)は、子会社の株式の一部を売却した場合、親会社の帳簿上の処理において、売却原価を計算し、適切に仕訳ができるかを問うている。
(4)は、子会社株式の一部売却後も支配が継続する場合の処理について、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」の平成25年改正で変更となった売却持分と売却価額との間に生じた差額と、のれん未償却分の処理についての理解を問うている。
(5)は、子会社の非支配株主への利益振替時の処理について、前後の貸借対照表より当該年度の利益剰余金額を適切に算出できるか、また、売却時のタイミングから適切な非支配株主の持分比率を識別して計算ができるかを問うている。

第三問

本問は、決算整理前残高試算表から、問題文に示した決算整理事項等に基づき決算整理後残高試算表を作成する総合問題である。問題文に示された取引事実等を正確かつ迅速に理解し、あるべき会計処理を迅速に導き出す応用力を判定することを目的としている。
個別的には、現金、当座預金における銀行勘定調整、商品、売掛金、買掛金、減価償却費及び貸倒引当金等といった実務における頻出重要項目のほか、金融商品、棚卸資産の評価、税効果会計、借入金、社債及び外貨建て取引等に係る会計基準を中心とした会計理論の基礎的な理解度及び簿記論における仕訳並びに計算技術の達成度を問うている。

財務諸表論

第一問

問1

本問は、会計上の見積りについて、財務諸表における認識の対象と蓋然性の概念について基礎的な理解を問う問題である。

問2

本問は、会計上の見積りについて、財務諸表における認識対象となる項目に関する見積りの要素に係る注記等に関する基礎的な理解を問う問題である。

問3

本問は、会計上の見積りについて、主として引当金を対象として、期間損益計算の観点に立った議論と負債の定義の観点に立った議論に関する理解を問う問題である。

問4

本問は、会計上の見積りについて、主として固定資産の減損認識を対象として、将来キャッシュ・フローの見積りに係る基礎的な理解、回収可能価額の意味及び固定資産の減損認識の意義に関する理解を問う問題である。

第二問

問1

本問は、発生主義会計の基礎概念であるキャッシュ・フローの期間配分、合致(一致)の原則及び収支額主義に関する基礎的な理解を問う問題である。

(1)では、「企業会計原則」における会計上の認識・測定に関連する諸原則を理解しているかを穴埋め形式で問うている。
(2)では、「企業会計原則」における期間損益の表示に関する2つの考え方、すなわち包括主義と当期業績主義の違いを理解しているかを問うている。
(3)では、(1)及び(2)に関連付けながら、発生主義会計の基礎概念を理解しているかを問うている。
(4)では、応用問題として、発生主義会計を支えている他の諸原則、すなわち費用収益対応原則及び発生(時間)基準の定義や考え方を問うている。

問2

本問は、為替予約取引に関する2つの会計処理、すなわち原則処理(独立処理)及び例外処理(振当処理)に関する基礎的な考え方を理解しているかを確認するとともに、より本質的には、発生主義会計の基礎概念を理解しているかについて問う問題である。

(1)及び(2)では、為替予約に関する2つの会計処理を理解しているかを問うている。
(3)では、問1の応用問題として、為替予約に関する2つの会計処理の基では、収支額主義が貫かれているか否かを、(1)及び(2)に関連付けながら、理由を付して記述する問題である。なお、収支額主義の内容は問1及び問題文に記載されている。
(4)では、問1の応用問題として、為替予約に関する2つの会計処理の基では、合致の原則が貫かれているか否かを、(1)及び(2)に関連付けながら、理由を付して記述する問題である。なお、合致の原則の内容は問1及び問題文に記載されている。

第三問

本問は、会社法及び会社計算規則に基づく計算書類等の基本的な理解度を広範囲に問う問題である。資料を正確かつ横断的に読み取って、貸借対照表及び損益計算書並びに株主資本等変動計算書を適切に作成することができるかについて問うている。財務諸表論は制度会計であり、税理士にとって身近な制度会計である会社法及び会社計算規則に基づいた計算書類の作成に関する基本的な理解を問う問題である。

(1) 現金及び預金について、現金及び預金の範囲と基本的な組替え事項に関する理解を問うている。
(2) 金銭債権について、「金融商品に関する会計基準」における債権区分の考え方と貸倒引当金の会計処理に関する理解も問うている。
(3) 有価証券について、「金融商品に関する会計基準」における有価証券の評価方法等に関する理解を問うている。
(4) 自己株式について、「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」における自己株式の処分等に関する理解を問うている。
(5) 棚卸資産について、「棚卸資産の評価に関する会計基準」における棚卸資産の評価基準及び評価方法に関する理解を問うている。
(6) 有形固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」における減損損失の計算方法等の理解を問うている。
(7) 社債について、「金融商品に関する会計基準」における社債の評価方法等に関する理解を問うている。
(8) 従業員賞与について、その処理と表示に関する理解を問うている。
(9) 退職給付会計について、「退職給付に関する会計基準」における引当金の処理に関する理解を問うている。
(10) 純資産について、「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」における増資の処理に関する理解を問うている。
(11) 諸税金の処理について、納付税額の処理方法の理解を問うている。
(12) 税効果会計について、「税効果会計に係る会計基準」における繰延税金資産の会計処理と表示に関する理解を問うている。
(13) 注記について、「重要な会計方針に係る事項」についての注記の開示に関する理解を問うている。
(14) 会社法及び会社計算規則に定める貸借対照表及び損益計算書の区分、項目及び名称に関する理解を問うている。

所得税法

第一問

問1

本問は、「青色申告特別控除」について、制度の理解を問う問題であり、その主なポイントは次のとおりである。

(1) 青色申告特別控除は、税務署長に青色申告の承認を受けている年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、次の区分に応じ、ぞれぞれ次の金額を控除することができる制度であること。
1 簡易な簿記で記帳している場合:10万円
2 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む者が正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳し、確定申告書に控除額に関する事項等の記載並びに損益計算書、貸借対照表及び事業所得等の計算に関する明細書の添付があり、確定申告書を確定申告期限内に提出した場合:55万円
3 上記2のうち、次のいずれかに該当する場合:65万円
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の承認を受け、同法の規定に基づき、帳簿書類に係る電磁的記録の備付け及び保存を行っている場合
損益計算書、貸借対照表、事業所得等の計算に関する明細書及び確定申告書に記載すべき事項を確定申告期限内に情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の規定により電子情報処理組織(e-Tax)を使用して送信した場合
(2) 青色申告特別控除は、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額の順に控除し、これらの金額が控除額よりも低い場合には、これらの金額が限度とされること。

問2

本問は、「国又は地方公共団体から支給を受ける給付金等」について、その課税関係の理解を問う問題であり、その主なポイントは次のとおりである。

(1) 個人事業者が昨年よりも売上げが減少したことに伴い支給を受ける持続化給付金
事業の収益の補償として支給を受ける給付金は、事業所得の付随収入に該当することから、事業所得に区分されること。

(2) 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として支給を受ける特別定額給付金
新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律において非課税所得とされていること。

(3) Go Toイベント事業により支給を受ける給付金
Go Toイベント事業により支給を受ける給付金は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、譲渡所得、山林所得には当たらず、営利を目的とする継続的な行為から生ずる所得、継続的に発生する所得、資産の譲渡や役務の提供の対価としての性質を有する所得に当たらないことから、一時所得に区分されること。

(4) ベビーシッターを利用した者が毎月支給を受ける助成金
ベビーシッターを利用した者が毎月支給を受ける助成金は、所得税法において非課税所得とされていること。

(5) 個人事業者が事業用の機械の購入費用に充てるために支給を受ける補助金
個人事業者が事業用の固定資産の購入費用に充てるために支給を受ける補助金は、事業所得の付随収入に該当することから、事業所得に区分されること。
なお、国庫補助金等の総収入金額不算入を選択して、固定資産の取得価額から補助金の額を控除することにより、その年の事業所得の総収入金額に算入しないこともできること。

第二問

所得税法では、所得を10種類に分類し、これらの各種所得ごとにその所得金額を計算し、課税標準である総所得金額等を計算する。そして、課税標準額から所得控除額を控除して課税総所得金額等を計算し、その総課税所得金額等に対する税額を計算する。問1は、この一連の計算過程の理解を問う問題であり、問2は、譲渡所得の所得金額計算の理解を問う問題である。

問1

本問は、海外赴任時に海外で取得した中古不動産及び相続した不動産の賃貸事業並びに海外不動産及び相続空き家の譲渡に関する事例を通じて、不動産所得及び譲渡所得を中心に、一連の計算過程の理解を問う問題であり、その主なポイントは次のとおりである。

(1) 退職所得控除額の特例計算
(2) 不動産所得の収入金額の対象範囲及び計上時期
(3) 不動産所得の必要経費の範囲
(4) 資産損失の計算
(5) 減価償却資産の償却計算
(6) 所得控除額の計算
(7) 居住用財産の譲渡所得の特例
(8) 相続空き家の譲渡所得の特例

問2

本問は、民法改正によって新設された配偶者居住権等に関する所得税法上の課税関係の理解を問う問題であり、その主なポイントは次のとおりである。

(1) 配偶者居住権等の合意解除に伴い取得する対価の所得区分及び所得計算
(2) 中古取得の不動産の土地と建物の取得対価の区分計算
(3) 配偶者居住権等を取得した後に当該権利の目的である建物の増改築費用の取扱い
(4) 配偶者居住権等を合意解除によって消滅させた後の譲渡に係る譲渡所得の計算方法

法人税法

第一問

問1

収益に関する事項である法人税法第22条及び第22条の2についての問題である。
資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に係る収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することとされている。そして、その益金の額に算入する金額は、別段の定めがあるものを除き、その販売若しくは譲渡した資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とされている。
また、無償による資産の譲受けなど、資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供以外の取引に係る収益の額については、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算することとされている。
これらの規定を正しく理解した上で、具体的な事例に適切に当てはめられるかがポイントとなる。

問2

寄附金の損金不算入に関する事項である法人税法第37条及び寄附金に該当しない場合の費用又は損失の処理に関する規定についての問題である。
寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与で、広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものに該当しないものをした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとされている。そして、こうした定義に当てはまらず寄附金の額に該当しない場合においても、資産の提供に係る費用又は損失の額について、一般に公正妥当な会計処理の基準又は繰延資産のように別段の定めに従って損金の額を計算することとされている。
また、法人との間に完全支配関係がある他の法人に対して寄附金の額を支出した場合については、その全額が損金の額に算入されないことや、当該法人の利益積立金額に一定の金額を加算し、同額を他の法人の株式の帳簿価額に加算することとされている。
これらの規定を正しく理解した上で、具体的な事例に適切に当てはめられるかがポイントとなる。

第二問

問1

中小法人に係る税理士の実務に頻出し、重要な判断を要する事項について、正確な理解を求める問題である。

(1) 租税公課・納税充当金に関する事項
本問は、租税公課・納税充当金に関する当期中の経理処理から、税務上調整すべき金額を正しく把握することを求める問題である。具体的には、1納税充当金の処理、2利子税と延滞税・延滞金の違い、3その他損金不算入とされる租税公課の適正な理解がポイントとなる。

(2) グループ法人税制に関する事項
企業グループを対象とした各種の法整備が行われるなか、法人税法においても様々な特別規定が置かれている。本問は、完全支配関係にある法人間の取引に対する特別規定についての理解を求める問題であり、具体的には1寄附金、2譲渡損益調整資産の譲渡が行われた場合及び譲受法人で譲渡損益調整資産の譲渡が行われた場合の税務調整、3別表五(一)への記載方法の正確な知識を問う問題である。

(3) 貸倒引当金に関する事項
資本金1億円以下の中小法人等は、金銭債権の貸倒れによる損失の見込み額として貸倒引当金を繰り入れることができる。本問は、貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲、債権の内容ごとの繰入限度額の計算、一定の事由により債権の切捨てがあった場合の税務上の取扱いについての理解を求める問題であり、計算力がポイントとなる。

問2

人手確保の問題や不測の事態等により、やむを得ず廃業手続に移行することも多く見られる昨今の情勢から、清算をめぐる法人税法上の取扱いについての知識の確認を行う問題である。

(1) 期限切れ欠損金の取扱いに関する事項
本問は、残余財産が確定した事業年度中の会計処理について、その正確な把握及び理解とともに、清算手続の結果、残余財産がないと見込まれる場合の期限切れ欠損金の取扱いについて正確な知識を求める問題である。

(2) 現物による残余財産の分配が行われる場合の取扱いに関する事項
本問は、残余財産が確定した後、現物による残余財産の分配という損益取引と資本等取引の両方の性格を持つ取引が行われる場合における所要の調整及びみなし配当の計算について正確な知識を問う問題であり、現物による残余財産の分配における法人税法特有の思考についての理解がポイントとなる。

相続税法

第一問

問1

相続税法における相続税及び贈与税の納税義務者は、その者が相続若しくは遺贈又は贈与により財産を取得した時において、法施行地(日本国内)に住所を有するかどうか等により区分され、その区分に従い納税義務の範囲が定められている。
本問は、相続税法上、納税義務の範囲及び納税地に関して重要な意味を持つ住所の意義について説明を求めるとともに、相続税法第1条の4(贈与税の納税義務者)及び第2条の2(贈与税の課税財産の範囲)の規定の理解を問う問題である。
解答においては、相続税法第1条の4第1項各号のいずれの納税義務者に該当するかは、贈与によって財産を取得した時ごとに定まること及び一暦年中に無制限納税義務者と制限納税義務者の双方に該当する者の課税価格の規定(相法21の23)を理解しているかがポイントとなる。

問2

相続税及び贈与税の納税義務者は、相続若しくは遺贈又は贈与により財産を取得した個人を原則とするが、形式的には個人が法人に対して贈与等を行っていた場合でも、その贈与等をした個人又はその親族等が贈与等を受けた法人から特別の利益を受けているようなときは、実質的には、贈与等をした個人が贈与等に係る財産を有し、又は特別の利益を受ける者に贈与等をしたことと同じとなる。
本問は、このような持分の定めのない法人に対する贈与等を通じた租税回避を防止する措置として規定された相続税法第65条(特別の法人から受ける利益に対する課税)及び第66条第4項(人格のない社団又は財団等に対する課税)の規定の理解を問う問題である。
解答においては、規定の趣旨、課税対象者、課税財産及び両規定の適用関係を理解しているかがポイントとなる。

第二問

相続税法(関係のある租税特別措置法を含む。)全般に関する理解度を測るため、相続人、法定相続人の判定に始まり、個別の財産評価、課税価格、相続税の総額、各相続人等の納付すべき税額に至るまでを、計算過程を示して解答する総合問題であり、主なポイントは次のとおりである。

(1) 相続人、法定相続人の判定と、これらに該当する者に適用のある規定を理解していること。
(2) 個人とみなされる納税義務者を理解していること。
(3) 宅地の評価方法を理解していること。
(4) 家屋の評価方法を理解していること。
(5) 不動産が賃貸借、使用貸借に供されていた場合の評価方法を理解していること。
(6) 配偶者居住権等の評価方法を理解していること。
(7) 上場株式、株式無償交付期待権の評価方法を理解していること。
(8) 取引相場のない株式の評価方法を理解していること。
(9) 小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の制度を理解していること。
(10) 債務・葬式費用の控除を理解していること。
(11) みなし相続財産である債務の免除益の取扱いを理解していること。
(12) 租税特別措置法第70条の非課税財産を理解していること。
(13) みなし相続財産である生命保険金等、生命保険契約に関する権利の取扱いを理解していること。
(14) 生前贈与された財産について、相続税の課税価格に加算される財産の範囲と贈与税額控除を理解していること。
(15) 贈与により住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の取扱いを理解していること。
(16) みなし贈与財産であるその他の利益の享受の取扱いを理解していること。
(17) 相続税額の2割加算の制度を理解していること。
(18) 配偶者に対する相続税額軽減の制度を理解していること。
(19) 未成年者控除の制度を理解していること。
(20) 障害者控除の制度を理解していること。

消費税法

第一問

問1

消費税は、課税期間中の課税標準に対する消費税額から、その期間中の課税仕入れ等に係る消費税額を控除して納付税額を計算する仕入税額控除制度を採用しており、仕入れに係る消費税額は棚卸資産、固定資産を問わず仕入時の課税期間において控除することとされている。
しかしながら、固定資産等のように長期間にわたって使用されるものについて、その仕入時の状況のみで税額控除を完結させることは、その後の課税期間において課税売上割合が著しく変動した場合や使用形態が変更された場合などを考慮すると必ずしも適切な方法とはいえないことから、固定資産等のうち一定金額以上のもの(調整対象固定資産)については、一定の方法により仕入れに係る消費税額を調整することとされている。
本問は、この仕入れに係る消費税額の調整のうち、課税売上割合が著しく変動した場合の調整についての問題であり、調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った課税期間に仕入れに係る消費税額を控除し、第三年度の課税期間に当該調整対象固定資産を有している場合には、課税売上割合が著しく変動しているかどうかを確認し、消費税額の調整の要否を判定することは実務においても重要なものであるから、制度の内容を正しく理解していることが必要であり、その内容を問う問題である。
次に、確定申告等については、平成30年度税制改正において、政府全体として行政手続の電子化を進めてきている中、官民併せたコストの削減や企業の生産性向上を推進する観点から、申告データを円滑に電子提出できるよう環境整備を進めつつ、まずは大法人(特定法人)について電子申告が義務付けられた。また、法人税の確定申告書の提出期限が特例により延長されている法人は、制度上の違いにより、法人税と消費税の確定申告書の提出期限に差異が生じることとなり、実務面の負担が発生しているとの意見が産業界から寄せられていたことから、令和2年度税制改正において、働き方改革関連法の施行により時間外労働の上限規制の導入等の措置がなされたこと等を踏まえ、法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例により法人税の確定申告書の提出期限が延長されている法人について、消費税の確定申告書の提出期限を1月間延長する特例が創設された。
こうした近年の改正事項についても、その適用対象となる事業者など、制度の内容を正しく理解していることが実務においても必要であり、その内容を問う問題である。

問2

本問は、事例に沿って事業者の判断した内容が正しいかどうかを判定し、その理由を消費税法令に沿って説明するものとした。税務代理や税務相談を行う税理士の実務においても重要であり、その必要な知識を問う問題である。

(1) 特定役務の提供の内容について
(2) 非課税となる社会福祉事業として行われる資産の譲渡等の範囲について
(3) 国外取引のために要した課税仕入れに関する個別対応方式に係る区分について
(4) 簡易課税制度における事業区分(第一種事業と第二種事業)について

第二問

問1

消費税の納付税額の計算に当たっては、課税資産の譲渡等の範囲、資産の譲渡等の時期及び課税標準の算定に関する事項を理解するとともに、仕入れに係る消費税額をはじめとする各種税額控除等について幅広く理解しておく必要がある。
また、令和元年10月からの消費税率の引上げ及び軽減税率制度の導入による複数税率化に伴い、売上げ及び仕入れの双方について税率ごとの区分が必要となり、軽減税率の適用範囲について正しく理解しておく必要がある。特に、個人事業者をはじめとする規模の小さな事業者にとって複数税率下での事務負担は大きなものであるため、税理士が指導や助言を行う場面が多く生ずると考えられる。
更に、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合において、事業者が複数の種類の事業を営む等の理由により、課税売上割合を用いて計算することがその事業者の事業の実態を反映せず、他の割合を用いて計算する方が合理的であるときは、税務署長の承認を受け、課税売上割合に準ずる割合を用いて仕入控除税額を計算することが考えられる。
以上を踏まえ、本問は、以下の事項を中心として、納付すべき消費税額を算出させることで消費税法の総合的な理解度を問う問題である。

(1) 売上げについて適用税率ごとの課税取引、非課税取引及び課税対象外(不課税)取引の判定を適正に行い、課税標準額に対する消費税額が正しく算出されているか。
(2) 仕入控除税額の計算に当たって、課税仕入れの範囲、適用税率及びその時期、個別対応方式と一括比例配分方式による計算方法等について正しく理解しているか。また、課税仕入れについて、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分を正しく行うことができるか。
(3) 課税売上割合及び課税売上割合に準ずる割合の算定を正しく行うことができるか。また、課税売上割合に準ずる割合の適用範囲について正しく理解しているか。

問2

本問は、賃貸の用に供する建物の取得に係る課税仕入れについて、取得後の利用状況等に応じて適用される仕入れに係る消費税額の調整の時期及び調整税額を解答させることで、消費税法に定める居住用賃貸建物及び調整対象固定資産の範囲並びに居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整及び非課税業務用調整対象固定資産を課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整の適用関係について正しく理解しているかを問う問題である。

酒税法

第一問

問1

酒税は、原則として、酒類がその製造場から移出され、又は保税地域から引き取られる時に納税義務が成立する移出時(引取時)課税制度を採用している。すなわち、流通段階の直前である製造場からの移出時に酒税の納税義務を成立させ、酒類の製造者が酒税相当額を酒類の価格に加えて販売することにより、最終的にはその酒類の消費者に負担を求めることを予定している税である。よって、課税物件である酒類が、その製造場で製造されたものであるか否かを問わず、酒類の製造場から移出する場合には納税義務が成立する仕組みとされている。
また、酒税等の内国消費税は、消費地課税の考え方から、国内において消費される課税物件に対して税負担を求めることを予定していることから、酒類製造者が輸出する目的で酒類をその製造場から移出する場合には、移出時課税の例外として輸出免税の制度を設け、輸出のため製造場から移出される酒類については、酒税を免除することとされている。
さらに、たとえ製造場から移出された酒類であっても、外国へ輸出される目的で一定期間蔵置場に蔵置されるような場合には、原則に従って直ちに課税原因を発生させるとすると、最終的に酒税を免除すべきとの本旨に反することから、移出時課税の例外として未納税移出の制度を設け、その移出に係る酒類に対する酒税を免除する規定を設けている。
本問は、当該免除を受けるための手続について、酒類製造者が自ら輸出免税の適用を受ける場合と、酒類製造者が輸出業者の蔵置場に酒類を一旦未納税移出した上で輸出業者が輸出する場合、それぞれの理解を問う問題である。
なお、令和2年度税制改正において、輸出免税の適用を受けるための要件が改正され、手続が簡素化された。このような近年の税制改正事項についても正しく理解していることが実務においても必要であることから、その理解を問う問題とした。

問2

酒類の販売業をしようとする場合には、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長から酒類の販売業免許を受けなければならないこととされている。また、その例外として、酒類の販売業免許を受けなくとも酒類の販売ができる場合についても酒税法に規定されている。
本問の(1)は、酒類の販売業に免許制度が採用されている趣旨について正しく理解しているかを問うとともに、その例外として酒類製造者がその製造免許を受けた製造場において酒類を販売する場合が規定されていること及びその場合に販売できる酒類の範囲について正しく理解しているかを問う問題であり、(2)は、酒場等では酒類の販売業免許を要しないこととされている趣旨について理解を問う問題である。
また、酒類の販売業免許については、財政上の目的から、一般的に禁止している酒類の販売業を一定の要件を満たした者に対して解除するものであるため、その効力は、免許を受けた者に限って生じ、例えば、相続の開始があった場合であっても、相続人が当然に承継するものではない。
そこで、酒税法では、自然人である酒類の販売業者について相続があった場合には、その相続人に遅滞なくその旨を申告させるとともに、当該相続人が特定の欠格要件に該当しないときに限り、被相続人が受けていた免許を受けたものとみなすこととされていたところ、令和2年度税制改正において、円滑な事業承継に資するような手続の簡素化が求められていたことなどから、個人事業者が生前にその免許に係る販売業の全部の譲渡を行う場合についても、相続と同様の手続により、譲受者において酒類の販売業免許を受けた者とみなされるよう改正された。
本問の(3)は、酒類の販売業の譲渡を受ける場合の手続等について、理解を問う問題であり、このような近年の税制改正事項についても正しく理解していることが実務においても必要であることから、その理解を問う問題とした。

第二問

本問は酒税法の総合的な理解を問うため、事例を基に製造場から移出した酒類について、酒類の品目及びその判定理由並びにその酒類の課税標準数量に対する酒税額、控除を受けようとする酒税額、納付すべき酒税額までの算出を求める問題であり、主なポイントは次のとおりである。

(1) 製法や性状等による酒類の分類
酒税法では、酒類の製法や性状等に着目して4つの種類に分類し、さらに17の品目に区分している。従量課税制度を採用している酒税制度においては、個々の酒類に対して、担税力に応じた負担を求めるため、酒類の製法等による種類・品目の分類により異なる税率が設けられていること。
(2) 各品目の税率の計算方法
(1)の分類に従い同一の種類に属する酒類には、原則として同一の基本税率を適用することとなっている。各種類に分類される各品目の酒類のうち一定のものについては基本税率と異なる税率が適用されるため、各品目の税率の計算方法を理解していること。
(3) 酒税の課税標準の規定や免税の規定
酒税の課税標準は酒類の製造場から移出し、又は保税地域から引き取る酒類の数量とされている。本問の課税標準の確定に当たっては、輸出する目的で酒類をその製造場から移出する場合の輸出免税の取扱いや、酒類等がその製造場において飲用されたときには、移出の事実がなくても酒類の移出があったとみなす例外規定について理解していること。
(4) 租税特別措置法に定める酒税の税率の特例の規定
一定の政策的配慮から、租税特別措置法により税率の軽減措置が定められており、酒税額の算出には、その適用される要件や数量の計算方法を理解していること。
(5) 戻入控除等の適用要件及び控除額の計算方法
課税移出され又は保税地域から引き取られた酒類が酒類製造場に戻入れ又は移入される場合がある。戻入れされた酒類については、移出がなかったことと同じ状態に戻るため、戻入れがあった日の属する月以後に提出期限の到来する納税申告書(期限内申告に限る。) に記載された酒税額からその酒類に対する酒税を控除することとなる。
また、移入酒類についてはその酒類が再移出された際に再び課税されることとなるので、二重課税を避ける意味で、再移出した際、又は移入された酒類を酒類の原料として使用した際に、その日の属する月以後に提出期限の到来する納税申告書(期限内申告に限る。) に記載された酒税額からその酒類に対する酒税を控除することとなる。
酒税額の算出に当たってはこれらの規定を正しく理解し、実際の事例に当てはめて計算することが必要であり、実務においても重要であることから、その理解を問う問題とした。

国税徴収法

第一問

問1

国税徴収法第79条は、差押えを解除しなければならない場合及び差押えを解除することができる場合の要件を規定したものであるところ、その効果については、差押えによる処分禁止の効力を将来に向かってのみ失わせるものである。
本問は、国税徴収手続において差し押さえた財産につき、「差押えを解除することができる場合」を問うものであり、「差押えを解除しなければならない場合」との違いについての正確な理解がポイントとなる。

問2

(1) 税務署長は、不動産等のうち、
1 不動産以外の財産を換価に付するときは、公売期日等から起算して7日を経過した日
2 不動産を換価に付するときは、公売期日等から起算して、7日を経過した日から21日を経過した日までの期間内で、税務署長等が指定する日
において最高価申込者に対して売却決定を行うこととされている(徴法1131、徴規1の6)。

不動産等については、売却決定に伴う影響が動産等に比して一層大きく、かつ、その買受人の保護規定もないため、これに代わる売却決定の安定化の一環として、更に、不動産については、不動産公売における暴力団員等の買受け防止措置を講じるため、上記規定が設けられている。
本問は、不動産等の売却決定手続についての理解がポイントとなる。

(2) 公売した財産に係る売却決定を行った場合であっても、一定の事由が生じたときには、その売却決定が取り消される場合がある。
具体的には、次の事由が生じた場合である。
1 徴収上、違法又は不当な処分があった場合
2 最高価申込者等が入札等を取り消した場合(徴法114)
3 買受人が買受代金を期限までに納付しない場合(徴法115)
4 買受代金納付前に換価財産に係る国税が完納した場合(徴法117)
5 公売実施の適正化のための措置(徴法108)
本問は、換価した財産に係る売却決定が取り消される場合についての正確な理解がポイントとなる。

第二問

本問は、滞納整理における具体的な設例において、1参加差押えをした税務署長による換価執行に関する手続等及び2差押不動産の換価代金の配当額の計算を問う総合問題である。

問1

本問は、参加差押えをした税務署長による換価執行については、差押機関に対する換価の催告(徴法89の21)、差押機関の同意(徴法89の22)、換価執行決定の告知(徴法89の23)、換価執行決定をした場合の通知(徴法89の24)及び換価に必要となる書類の引渡し(徴令42の21)等についての正確な理解がポイントとなる。

問2

国税は、滞納者の総財産について、原則として全ての公課その他の債権に先立って徴収する(徴法8)が、国税の法定納期限等以前に質権又は抵当権が設定されているときは、その国税は、換価代金につき、その質権又は抵当権に担保される債権に次いで徴収するとされている(徴法15、16)。また、国税と地方税との優先関係は、差押えに係る国税又は地方税は交付要求に係る国税又は地方税に先立って徴収し(徴法12)、先にされた交付要求に係る国税又は地方税は後にされた交付要求に係る国税又は地方税に先立って徴収する(徴法13)が、担保国税は、その担保財産の換価代金につき、他の国税及び地方税に先立って徴収することとされている(徴法14)。
本問は、差押不動産の換価代金の配当額を計算する問題であり、直接の滞納処分費の優先(徴法10)、国税及び地方税等と私債権との競合の調整(徴法26)等についての正確な理解がポイントとなる。

住民税

第一問

問1

本問は、個人住民税におけるひとり親及び寡婦に対する税制上の優遇措置についての理解を問う問題であり、主なポイントは次のとおりである。

(1) 所得割の納税義務者が、現に婚姻をしていない者等のうち、一定の要件を満たすもの(ひとり親)に該当する場合には、30万円をその者の前年の総所得金額等から控除する旨(ひとり親控除)
(2) 所得割の納税義務者が、夫と離婚・死別した後婚姻をしていない者でひとり親に該当しないもののうち、一定の要件を満たすもの(寡婦)に該当する場合には、26万円をその者の前年の総所得金額等から控除する旨(寡婦控除)
(3) 寡婦又はひとり親(これらの者の前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除く。)に該当する者に対しては、個人住民税の均等割及び所得割を課することができない旨(人的非課税措置)

問2

本問は、個人住民税における土地建物等に係る長期譲渡所得の課税の特例についての理解を問う問題である。
土地建物等に係る長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡の内容及び当該譲渡所得の金額等により、適用される特例や税率が異なる点を理解することは、実務上重要であり、主なポイントは次のとおりである。

(1) 土地建物等の譲渡所得については、譲渡所得を他の所得と区分し課税する旨(長期譲渡所得に係る道府県民税及び市町村民税の課税の特例)
(2) 長期譲渡所得のうち、優良な住宅地の共有と公的な土地取得に資すると認められる土地等の譲渡については、令和5年度までの各年度の個人住民税に限り特別な税率により課税する旨(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得に係る道府県民税及び市町村民税の課税の特例)
(3) 長期譲渡所得のうち、その年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産に係る長期譲渡所得を有する場合には、他の長期譲渡所得と区分して特別な税率により課税する旨(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得に係る道府県民税及び市町村民税の課税の特例)

第二問

地方税法における個人の住民税(市町村民税・道府県民税)は、均等割、所得割、利子割、配当割及び株式等譲渡所得割が課されることとされている。このうち、所得割は、各種所得について所得税法上の所得計算等をもとに計算した総所得金額等から、所得控除を控除した課税総所得金額をもとに税額を計算し、税額控除を控除することにより所得割の税額を算出する。
本問は、個人の住民税について、税額の算出過程における計算、現年分となる特別徴収税額の計算等、地方税法における個人の住民税の総合的な理解を問う問題であり、その主なポイントは次のとおりである。

(1) 退職所得の課税の特例の計算
(2) 譲渡所得の計算
(3) 損益通算対象となる所得の範囲(骨董品の譲渡損失の金額及び雑所得の損失)
(4) 公的年金等にかかる雑所得の計算
(5) 青色事業専従者給与の必要経費の範囲
(6) 低未利用土地にかかる特例控除
(7) ひとり親控除の人的控除差による調整控除
(8) 寄附金税額控除(一般、特例)の計算
(9) 公的年金等にかかる基礎控除額
(10) 配偶者特別控除の要件判定
(11) 配偶者特別控除の計算

事業税

第一問

問1

本問は、資本金1億円超の分割法人の中間申告納付及び清算中の各事業年度の申告納付について、正しく理解しているかを問う問題である。
中間申告納付には大別して、1予定申告による中間申告納付、2仮決算による中間申告納付がある。1については分割法人であるため、原則である前年度の事業税額に基づく場合と、事務所等の異動等があった場合における例外として前年度の課税標準に基づく場合とがある。また、中間申告義務を有する法人が期限内に申告を行わなかった場合、申告があったものとみなされることとなる。これらの制度を正しく理解しているかがポイントとなる。
清算中の各事業年度の申告納付は、清算中の事業年度(残余財産の確定の日の属する事業年度を除く。)の申告納付と、残余財産の確定の日の属する事業年度の申告納付があり、これらの制度を正しく理解しているかがポイントとなる。

問2

所得課税と収入金額課税の課税標準等の違いについて、正しく理解しているかを問う問題であり、主なポイントは次のとおりである。

(1) 所得課税と収入金額課税の課税標準の相違点
所得課税と収入金額課税の課税標準について、その算定方法の違いのほか、外国の事業に帰属する所得に関する規定、保険の区分に応じた収入金額の算定方法などについて正しく理解していること。
(2) 所得課税と収入金額課税の標準税率の相違点
所得課税と収入金額課税の標準税率の違いのほか、所得課税の軽減税率適用にかかる規定について正しく理解していること。
(3) 業種ごとの分割基準の相違点
設問の各社の業種に応じて適用される分割基準のほか、資本金1億円以上の製造業を行う法人に限り適用される基準について正しく理解していること。

第二問

問1

資本金1億円超の法人の事業税額の算定について、正しく理解しているかを問う問題であり、主なポイントは次のとおりである。

(1) 所得割の課税標準の算定方法
所得割の課税標準となる所得は、原則として法人税の所得の計算の例によりながら、例外として法人税の所得の計算の例によらない項目を正しく算定できること。
(2) 付加価値割の課税標準の算定方法
付加価値割の課税標準となる付加価値額は、収益配分額(報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額)と単年度損益との合計額から雇用安定控除額を控除した金額となる。資料を基にこれらの項目について正しく算定できること。
(3) 資本割の課税標準の算定方法
資本割の課税標準となる資本金等の額を、資料を基に正しく算定できること。
(4) 課税標準の分割基準及び分割課税標準額の算定方法
適切な分割基準を用い、資料から正しい分割基準の数値及び分割課税標準額を算定できること。
(5) 税額の算定
各県の適切な税率を用い、各県の税額を正しく算定できること。

問2

個人が年の中途において事業を廃止した場合における個人事業税の算定について、正しく理解しているかを問う問題である。
個人が年の中途において事業を廃止した場合における事業税の課税標準は、当該年度の初日の属する年の前年中における個人の事業の所得によるほか、当該年の1月1日から事業の廃止の日までの個人の事業の所得によるとされていることから、前年中における所得及び当該年の1月1日から事業の廃止の日までの所得を正しく算定できるかがポイントとなる。

(1) 前年中における所得に係る個人の事業税の課税標準の算定方法
個人の事業の所得は、原則として所得税の所得の計算の例によりながら、例外として所得税の所得の計算の例によらない事項を適切に処理できること。
具体的には青色事業専従者や各種控除の規定などが挙げられる。
(2) 年の中途において事業を廃止した場合における個人の事業税の課税標準の算定方法
(3) 2以上の道府県において行う事業に対する課税標準の按分
個人事業税では、所得の総額を事務所又は事業所の従業者の数に按分して定めることとされていることから、資料を基に正しく按分できること。
(4) 税額の算定
各県の適切な税率を用い、各県の税額を正しく算定できること。

固定資産税

第一問

問1

本問は、固定資産税に関する申告制度について、基本的な理解を問う問題である。
固定資産税の申告制度としては、納税管理人の申告、償却資産の申告のほか、市町村長が条例で定めるところにより申告させることができるものとして、住宅用地特例の申告及び現所有者の申告がある。
これらの申告制度について正しく理解しているか、また、令和2年度税制改正において創設された現所有者の申告について正しく理解しているかがポイントとなる。

問2

本問は、固定資産税の免税点に係る趣旨、内容及び適用並びに土地及び家屋に係る免税点を判定する際に用いる土地名寄帳及び家屋名寄帳について、基本的な理解を問う問題である。
共有物についての免税点の適用については、それぞれの共有者が他に固定資産税を有している場合であっても、その資産とは別に共有されている固定資産を別の人格が所有しているものとして免税点を適用するなど、免税点の判定に当たり留意すべき点について正しく理解しているかがポイントとなる。

第二問

本問は、税額の計算を通して固定資産税制度の総合的な理解を問う問題である。
問1は、負担調整措置について理解を問う問題であり、問2は、大規模償却資産について基本的な理解を問う問題である。

問1

商業地等、住宅用地及び農地については、それぞれ異なる負担調整措置が講じられている。
本問は、地目や用途の変更があった場合などにおける土地の税額を算定するに当たって、商業地等、住宅用地及び農地にかかる負担調整措置についての総合的な理解を問う問題である。
令和3年度税制改正において、令和3年度の課税標準額を令和2年度の課税標準額と同額とする令和3年度限りの特別な負担調整措置が講じられていること、地目変更が行われた場合、小規模住宅用地のうち用途変更宅地等に該当する場合に適用される負担調整措置の計算方法、特定市街化区域農地の税額を算定するに当たって、みなし前年度課税標準額に基づく仮定計算方法などについて正しく理解しているかがポイントとなる。

問2

本問は、大規模償却資産の課税主体、市町村が課税することのできる課税定額の増額の算出の特例についての理解を問う問題である。
大規模償却資産の税額の算定を通して、大規模償却資産の課税標準額については、課税定額に増額分を上乗せした額までが市町村課税分となり、その限度額を超える部分が道府県課税分となるところ、課税定額は課税市町村の人口規模によって額が異なり、また、増額分についても、当該審査が新規大規模償却資産に該当する場合には算定方法が別途定められているとともに、課税市町村の基準財政需要額や基準財政収入額によって増額分に差が生じることについて正しく理解しているがポイントとなる。

今日の「愛され妻」

紅葉狩りに行ってきました。

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