税理士試験 所得税法:計算ー総合問題を解く手順 第68回本試験問題で解説します!Part2

要点チェックノート 所得税法

所得税法:計算ー総合問題を解く手順 第68回本試験問題で解説します!Part1の続きです。
今日は計算問題の問1について、私が本試験で「どういう順番で、何を考えて、どう判断して」解いたのか時系列に解説します。

計算問1

素読みと解答に合計42分です。

問1の素読み

残り時間45分あるので、40分で解いて5分の余裕があるなと思いました。

問1の問題を資料ごとに区切り線を入れながら読みます。
資料Ⅰで、退職に〇印、青色に□印(余白に10万と65万のメモ書きも)、総平均法にアンダーライン、次のページに続く矢印→を入れます。
C3ページでは、税込に〇印を、資料Ⅰが終わる印に右上に曲がる矢印⤴を書きます。
資ⅡはC3ページからC4ページに続くので右まっすぐの矢印→を書きます。
資料Ⅲから資料Ⅵまで、矢印を入れながら、給与に〇印、退職に〇印、医療費に△印、と書き進めます。
ここまでざっと読んで、解答用紙の税額控除(雇用者給与等…)は無いなと判断してゼロと書きます。もし適用が有ったとしても、そんな(開業初年度に適用できる)ことはテキストに載ってないから黒星で捨て項目です。
基礎控除38万、予定納税額0も、この時点で書きます。

問1の答案作成

資料Ⅰ

素読みで終了。
第68回所得税法試験問題

資料Ⅱ

1で「総平均法で期末商品を求める?簿記論じゃなくて所得で?何のひっかけ?」と思いつつも計算します。
本当はダメなパターンですが、問題文に何の印もつけていません。
いきなり解答を作成して、計算結果だけメモ書きしています。
こういうのがミスの元凶です。今回は正解しているので結果オーライですが、自分で決めたルールを疎かにするといつか痛い目に遭います。(※それは退職所得に起こります…)
『売原 91,800,000-24,480,000=67,320,000』
『91,800,000/3,000×800=24,480,000』
1を斜め線で消します。
第68回所得税法試験問題

2で売上です。37,800×70%よりも27,000の方が大きいことを電卓で確認します。
表の下の文章から、追加計上7,560,000じ+、1,134,000じ+…⁉、あれ?と文章を読み直します。
【未入金のもののうち】だから追加計上してはダメだと+を消します。貸引設定するので引△をメモ書きします。
『売上 75,492,000+7,560,000=83,052,000
『27,000≧37,800×70% ∴対価課税』と書きます。

3で給与と専従者給与です。ここはP/Lのまま転記します。転記した印の斜め線で消します。
この時点で、所得控除の配偶者控除と配偶者特別控除に『ゼロ 専従者のため』と書きます。

4の諸経費ですが、大原生としては諸経費と家賃は別建てで表記するはずなのに、1月分家賃は今年の費用でOKだから諸経費はこのまま修正なし、とTAC生のような解答をしてしまいます。
どちらでも正解だと思いますが、なぜこのとき自分がTAC生のような解答をしたのか…説明がつきません。

ここで、2の貸引に戻ります。他に債権の情報はないと判断したからです。
『貸引 個別 1,134,000×50%=567,000』
『一括(7,560,000-1,134,000)×55/1,000=353,430』
『合計 920,430』

5の利息です。まずは解答に『雑所得 友人利子 45,000』と書き、問題文に ざ+とメモ書きします。
預金利息は源泉所得税等控除後とあります。後に〇印、念のためC2の注意点を読み直します。
源泉所得税等とは所得税と復興税だから住民税は控除されてないぞと判断します。
『利子所得 預金 1,594÷0.84685=1,882(源分)』

6の雑収入は給与でいいはず…と、TAC模試でもらったQ&Aを思い出します。
『給与所得の収入欄 (77,552+2,448=80,000)』
『源泉税額 2,448』
と解答に書いて、問題文も斜め線で消します。
第68回所得税法試験問題

資料Ⅲ

1減価償却ですが、全て5月から事業供用なのでin8/12とメモ書きします。
実はコレが間違いで、PCは6月から事業供用なのでin7/12なのです… 雑な資料読み取りは命取りです。面倒でも一つずつメモ書きしましょう…
造作工事は設計料とかっこで括ります。償却率表の定額法22年の数字を〇印で囲みます。
『造作 (1,620,000+291,600)×0.046×8/12=58,623』

棚は後回しで、先にPCです。
『PC 302,400×0.250×8/12=50,400』 これは痛いミスです。無印項目を落としました…
棚は中古品なので、耐用年数の計算をします。
15年は180月、H25.10.20~H30.5.20が4年7月で55月、
『180-55+55×20%=136⇒11(0.091)』償却率表の定額法11年の数字を〇印で囲みます。
『棚 2,808,000×0.091×8/12=170,352』

HP制作代はそのまま今年の費用として転記します。
『HP制作代 313,200』

2敷金償却は20万円以下全額なんてことはすっかり頭になく月数按分します…
『敷金償却 (600,000×20%×)8/5×12=16,000』

3消費税が還付になったても所得には関係ないし…と無視です。

資料Ⅳ

給与所得です。
『収入欄 (77,552+2,448=80,000)+2,400,000=2,480,000』
給与所得控除を計算して、給与所得金額も解答に書きます。
『源泉税額 2,448+155,420』給与の分を追記します。
『社保 336,820』
全て転記したら斜め線で消します。

資料Ⅴ

退職です… B社と重複していないという謎の判断勤続年数3年1月を3年とする謎の計算により、計算過程は無茶苦茶です。しかし、ラッキーなことに最終値だけは正答するという奇跡が起こりました。
どこに配点があったのでしょうか… TACさんは最終値に配点がありましたね…
第68回所得税法試験問題

資料Ⅵの一時所得

所得控除です。第一段階は終わったのか?一時所得なかったな?雑所得とのひっかけ?と考えながら問題文を読みます。
ふるさと納税の返礼品を発見!一時所得です。
『一時所得 返礼品 24,000』
第一段階は完了です!

源泉税額の集計

3つですが、端数がありますので電卓は慎重に打ちます。

資料Ⅵの所得控除

医療費は原則と特例の有利選択を問いたいんだなと判断します。
『原則 (68,000+8,000+4,300+27,000)-100,000=7,300』
『  空欄(後で書きます)×5%>100,000 ∴ 100,000』
『特例 27,000-12,000=15,000』
『7,300<15,000 ∴ 15,000』

社保は追記します。
『社保 336,820+289,044+147,060=772,924』

生保は限度を知っているかを問いたいんだなと判断します。
『一般 150,000>100,000 ∴ 50,000』
『個人 180,000>100,000 ∴ 50,000』
『介護 120,000>100,000 ∴ 50,000』
『合計 150,000>120,000 ∴ 120,000』

『地震保険 8,000』

『寄付金 80,000-2,000=78,000』
『  空欄(後で書きます)×40%≧80,000 ∴ 80,000』

配偶者は解答済です。

扶養控除
『長女 別生計 ∴適用なし』
『長男 800,000-650,000-196,080<0≦380,000 ∴630,000』
長男の国保は自分で払っているという指示に何を思ったのかここで引いています…
何のアピールなのでしょうか…
第68回所得税法試験問題
その都度、解答に転記済の数字は斜め線で消します。

第一段階を集計する

各種所得の金額を締めます。
事業所得で青特が65万なので、問題文のメモ書き65万に〇印をつけます。

課税標準額を集計する

ささっと計算します。合計額を所得控除(医療費と寄付金)の空欄に転記します。

第四段階から税額まで

上から下にだだーっと書きます。
第68回所得税法答案1 第68回所得税法答案2 第68回所得税法答案3
問題用紙に、納135,900をメモ書きして終了です。

総合問題で心掛けていること

所得N先生は「税理士は、お客様の話をしっかり伺い、必要なメモ書きをして、正しく税金計算します。自分には税理士になる適性があるということを、解答用紙に示すのです!」と仰いました。
それ以降はどんなに難しい問題で時間が足りなくても、税額(最終値)まで書くようにしています。
途中の計算が間違っていても(試験では完答は無理です)申告書としての体裁が成り立つようにです。N先生いわく、「時間がなかったから申告書は第三段階までです、と税理士がお客様に中途半端な申告書を渡すわけがないでしょう!」です。

無印完答!

試験問題ですから黒星捨て項目はあります。黒星は白紙にせずゼロと書けば自分の判断を答案に残せます。え~とと悩んで貴重な時間を浪費しないことです!
そして貴重な時間は無印項目に使いましょう!
第68回本試験問題は、無印項目の判断がつきやすかったと思います。
無印と判断できても、つまらないミスで取りこぼししてはもったいないです。
今回の私の解答で言うならば、PCの減価償却敷金償却退職所得の合計3カ所のミスは痛手です。
それでもこの程度で済んだのは、
『テキスト読み込み』『直前見直しツールの活用』『答練で鍛えたルール』
が私を助けてくれたおかげだと思います。
日頃の答練でどれだけ無印完答を意識していても、本試験ではミスをしてしまいます。
だから、日頃の答練では無印80%でいいや~と思わないことが大事です。
無印80%でいいや~と思っていたら、本試験では無印60%も取れないと思います。
今日から【無印完答!】を合言葉に一緒にがんばりましょう(‘ω’)ノ

 

Follow me!

税理士試験 所得税法:計算ー総合問題を解く手順 第68回本試験問題で解説します!Part2” に対して1件のコメントがあります。

この投稿はコメントできません。