税理士試験 所得税法:計算ー総合問題を解く手順 第68回本試験問題で解説します!Part1

第68回税理士試験所得税法試験問題

平成30年(第68回)税理士試験 所得税法 復元答案を公開します!で紹介しました内容のうち、計算問題についてもう少し詳しくご説明いたします。
総合問題を解く手順の参考になれば嬉しく思います。
※長くなりすぎたので、今回は計算問題の問2のみ解説します。問1は改めてお届けします。

全体の所要時間

素読み:3分
理論タイトル挙げ:5分
理論解答:30分
計算問2:37分
計算問1:42分
見直し:3分

全体の素読み(理論+計算)

問題用紙を最初から全て順番にざざっと確認します。

理論問題を読んで問題文の指示に軽くパニックになりました。
答案用紙の枚数に対して、あまりにも書ける内容が少なかったからです。

ひとまず理論は横に置き、計算の問題を確認しました。
試験開始前の受験番号を記入しているときに、枚数の少ない問2から解こうと決めていました。

問1は開業初年度の青色で専従者がいて…と、前年以前の資料はなし、雑損もなし、と自分が計算問題を解く上で先に知っておきたいことを拾い読みします。
C3ページの表を見て『簿記論みたいだな…』と思いました。

問2は以前から青色で、前年以前の資料なし、配当とか譲渡とか指示が多いから気を付けよう~と思いつつ、問2から解くと最終決定します。

ここで、時間配分としては、理論30分以内、計算問2は35分程度、計算問1は40分程度と、大まかに決めます。
以上、全体の素読みは3分です。

理論

素読みと解答で35分でした。

計算問2

素読みと解答に合計37分です。

問2の素読み

問2の問題を資料ごとに区切り線を入れながら読みます。
青色を□で囲って、横に10万と65万のメモを書きます。定率法に△印をつけます。
資料Ⅱで雑収入の内訳に〇印をつけ、使わない数字である上のP/Lの雑収入は横線で消します。
資料ⅡはC7ページで終わるので右上に曲がる矢印⤴を書きます。
資料ⅣはC8ページからC9ページに続くので右まっすぐの矢印→を書きます。
資料Ⅴも同様に右まっすぐの矢印→を書きます。
資料Ⅶで予定納税を発見、この段階で『180,000×2=360,000』を解答用紙に転記資料Ⅶを斜め線で消します。

問2の答案作成

資料Ⅰ

資料Ⅱの1を区切り線を入れながら読みます。不動産所得の総収入金額に『家賃3,528,000』を転記、P/Lの家賃収入は斜め線で消します。1も斜め線で消します。
第68回所得税法試験問題

資料Ⅱ

資料Ⅱの2も同様に読みます。補助金は無視、不動産所得の総収入金額に『売電233,280』を転記、233,280の下に フ+ と斜め線を入れます。これは、不動産所得の総収入に転記した印です。
資料Ⅲ2(2)の3,240,000の下に△500,000を書き、(かっこ)でふたつを括ります。余白に、in10/12 と月数按分もメモ書きします。
資料Ⅱの2の補助金500,000はこれで転記済、500,000に斜め線を入れます。
2も斜め線で消します。

資料Ⅲに進む前に、問題文から諸経費は修正なしと判断し、不動産所得の必要経費に『諸経費986,800』を転記、P/Lの諸経費を斜め線で消します。

資料Ⅲ

資料Ⅲ2(1)から、全額資本的支出に該当するという文言を読み飛ばし、修繕費を計算してしまいます。
読み飛ばした証拠に、文末の区切り線がありません… どれだけルールを決めていても本試験では誰もが浮ついてしまうという実例です。

資料Ⅲの表をパッと見て、減価償却(略して減費)は耐用年数を超えている建物附属設備から解答します。
取得価額に5%を掛けた金額が前年末簿価であることを確認し、『建物附属(643,750-1)×1/5=128,750』を答案に書きます。資料Ⅲ表の左横にも同じ数字を書きます。
次は太陽光装置、C13ページの償却率表の定率法17年の数字を△で囲み、『太陽光(3,240,000-500,000)×0.118×10/12=269,434』を答案に書きます。資料Ⅲ表の左横にメモ書きしたのを消して、資料Ⅲ2(2)の左横に書き直します。
最後に建物です。C13ページの償却率表の旧定率法34年の数字を△で囲み、『建物 ①本体12,276,977×0.066=810,281 ②資本的支出 4,536,000×0.066×6/12=149,688 ③ ①+②=959,969』を答案に書きます。資料Ⅲ表の左横に810,281と、資料Ⅲ2(1)の左横に959,969とメモ書きします。
第68回所得税法試験問題

資料Ⅳ

C土地の譲渡、1(1)で、8,000,000と登記費用200,000と手数料300,000をぐるっと丸で囲みます。(取得価額
(2)~(7)まで区切り線を入れながら読みます。
2(1)の6,800,000の続きに、×38,000,000/80,000,000 をメモ書きします。(相続税額の取得費加算のため)
3(2)と(3)の金額をカッコでくくり、じょ+ とメモ書きします。(譲渡所得収入の印
3(4)と(5)の金額をカッコでくくり、 とメモ書きします。(譲渡費用の印本来ならばじょ△と書くべきところ)
3(6)は家事上の支出なので×印で消します。

譲渡の計算をはじめます。
分長(C土地)46,012,712ー(8,500,000+3,230,000+2,871,200)=31,411,512
A 46,000,000+12,712=46,012,712
B 8,000,000+200,000+300,000=8,500,000
C 6,800,000×38,000,000/80,000,000=3,230,000
D 1,296,000+1,555,200+20,000=2,871,200

と、ここで手が止まります。
流れに乗って相続税額の取得費加算しちゃったけど、空き家3,000万控除の方が有利じゃないか!?

はい、そうです!ここで立ち止まって正解でした!
慌てて全部消しそうになりますが、せっかく書いたものは活用します。
すぐ下にコメントを書きました!
相続税取得費加算よりも空き家3,000万控除の方が乙にとって有利
そして、問題文の資料Ⅳ2(1)を×印で消します。(使わなかった証拠として)

分長(C土地)46,012,712ー(8,500,000+3,230,000+2,871,200)=31,411,512 34,641,512

このときに、第四段階の課長に3,000万の特別控除を書きます!

悩ましいD家屋の取り壊し直前の簿価ですが、どこを探してもD家屋の耐用年数がないので諦めます。
簿価ゼロと判断しました。
ここで相続時の評価額を使いたくなってしまうかもしれませんがダミーデータです。
解き終わったので、資料Ⅳを斜め線で消します。
第68回所得税法試験問題

資料Ⅴ

株の譲渡と配当所得です。
まず、(2)表の対価の額に〇印取得費等に△印をつけます。
(2)表を確認しながら、上場は〇印非上場は△印をつけます。
株の譲渡は以上だから、すぐに転記します。
『一株譲渡 Q株 200,000』
『上株譲渡 X株 △300,000』
本来ならば、(2)表の数字を斜め線で消すはずなのに消していません… 上〇一〇だけメモ書きです。反省…

(3)も本来ならば、内訳を〇印で囲むはずなのにしていません。
(3)表を確認しながら、上場は〇印非上場は△印をつけます。
(4)も本来ならば、ないにルビを振って区切り線を入れます。
(5)は重要な指示なのでアンダーラインを引きます。
(6)の申告不要は□で囲みます。(分離でとか総合でとかの指示は□と決めています)
この時点で、Y配当とQ配当は『申不』とメモ書きして、源泉税額を横線で消します。
配当所得に転記します。
『総合 Z株 80,000』
『総合 Z株 60,000』
『総合 Q株 90,000(申不)』
『上配 X株 500,000』
『上配 Y株 300,000(申不)』
源泉税額も転記して、斜め線で消します。

ここで第二段階の損益通算を先に書きます。
損通 △300,000+500,000=200,000
第68回所得税法試験問題

資料Ⅵ

給与に〇印と、年調済の済にアンダーラインを入れます。
集中力が切れかけているのか、(2)を給与所得控除額と読み間違え、(1)と(2)をくくって引き算をしてしまいます。
(3)を読んでいるときに、アレ!?と気づき、横二重線で訂正して、(1)を×印します。
直ちに答案に『給与所得4,260,000』と転記します。
先に源泉税額を答案に転記して、斜め線で消します。
(3)に戻り、(4)下の注を読みます。変更はないの「はない」にルビを振り、区切り線を入れます。
第三段階の所得控除に2,381,100を転記して、数字を斜め線で消します。
解き終わったので、資料Ⅵを斜め線で消します。

源泉税額を集計する

源泉税額は得点源なので、忘れないように落ち着いて先に集計します。

第一段階を集計する

各種所得の金額を締めます。

課税標準額を集計する

ささっと書きます。損通は先に書いてあります。

第四段階を集計する

課長は済んでいます。
後はささっと(千・切)と(〃)を書きます。※千円未満切捨の省略

以下、税額まで

あとはだだーっと書きます。
第68回所得税法答案4 第68回所得税法答案5
問題用紙に、納272,800残り時間45分をメモ書きして終了です。

所得税法 計算問題のコツ!

処理の流れを把握する!
空き家譲渡3,000万控除は第一段階⇒第四段階で処理する、といった流れを把握する。
書き忘れそうならば、先に書いてしまう。
得点源をコツコツ拾う!
源泉税額などの単なる集計で取れる得点を取りこぼししない。時間に余裕のある前半に取る。
え~と?と悩まない!
今回で言うとD家屋です。実務ではなく試験問題ですから、与えられた情報だけで計算するしかないのです。隅々まで探しても無いならば諦めてサッサと計算してしまいましょう。
問題文の指示には従う
指示を見落とすことのないように、目立つ印(ルール)を決めましょう。そして守りましょう。

所得税法 計算問題 まとめ

どんなにルールを決めていても、本試験では舞い上がってしまうという実例ですね…
普段の答練ではもっとしっかりルールを守って解答しています。
だからこそ、この程度のミスで済んだのだと思います。
それから、ルールが確立しているから数か月後でも再現や解説ができます

所得は法人に比べて受験者数が少ないです。
その分どうしてもTwitterやブログの情報も少なくなってしまいます。
私の答案や解き方を見て、「所得って面白いかも!?」とか「次科目は所得にしよう!」と思ってもらえたら嬉しいです。
次回は計算問1をお届けします!

 

 

 

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